【無知ほどものの上手なれ】



ここにお茶があります。

静岡の新茶に極上の宇治抹茶を
見事なまでに配合して
『色、香り、味』
すべてにおいて、これ以上ないといった
見事なまでのお茶です。
 
 
そしてその素晴らしいお茶を前にして
あなたはとても喉が渇いている。
 
 
枯渇した灼熱の砂漠の中を
進んでいるけれども
連れ立っていたラクダ
3日も前に動けなくなってしまった

ただそこに居るだけでも
ジリジリと皮膚が焼けているのが
音を立てて分かるほど陽の光も強い

時折吹くはまるで
地の底のマグマをまとっているかのように
鼻と喉を否応なしに刺激して
微かに残った口腔内の水分を
容赦なく奪っていく
 
 
それほど、あなたは喉が渇いているんだ。
 
 

 

 
突然現れたお茶は
あまりにも神々しく眼に映った。
 
 
いざ一口、含もうと思った刹那

。。。

嫌なものが視界に入った。
 
 
そう、それは
『極上のお茶が入った容器』
だ。
 
 
なんとそれは
『尿瓶』に入っていたのだ!

でも、まぎれもなく中身のお茶は
極上であることは分かっている。

この尿瓶は新品の未使用品で、
お茶を注ぐ前には充分に洗浄してある。
 
 
はたしてあなたは
このお茶を飲むか?

傍から見たら
どう見ても尿瓶に入った小便を
おいしそうに飲み干している変態としか
映らないであろう。

しかし、あなたは今
そんな世間体などを気にしていられる
状態ではないのは、先に述べた通りだ。

さあ、どうする?
 
 

 

 
。。。
 
 
 
わかった

ちょっと設問がいじわるだったね。

入れ物を変えよう。
 
 
 
突然現れたお茶は
あまりにも神々しく眼に映った。
 
 
いざ一口、含もうと思った刹那

。。。

嫌なものが視界に入った。
 
 
そう、それは
『極上のお茶が入った容器』
だ。
 
 
なんとそれは
『バケツ』に入っていたのだ!

でも、まぎれもなく中身のお茶は
極上であることは分かっている。

このバケツは新品の未使用品で、
お茶を注ぐ前には充分に洗浄してある。
 
 
はたしてあなたは
このお茶を飲むか?

傍から見たら
どう見ても掃除に使った
雑巾のあの黒い搾り汁を
おいしそうに飲み干している鬼畜としか
映らないであろう。

しかし、あなたは今
そんな世間体などを気にしていられる
状態ではないのは、先に述べた通りだ。

さあ、どうする?
 
 
 
。。。
 
 
 
わかった、わかった。

また意地悪な設問だったね。
 
 
では、この神々しいお茶が
バカラとスワロフスキーとの合作の
この世に2つとない素晴らしく輝く
ガラスのグラスに注がれている。
 
 
あなたは、恥も外聞もかなぐり捨てて
このグラスに飛びつき
これほどまで大きい音がするのかと
喉をごくごくと鳴らし
最後の一滴まで舐めとるように
飲み干すであろう。
 
 
 
今の3つのお茶は
どれも同じ極上のお茶

違うのは、その入れ物だけ。
 
 
なぜ『尿瓶』では飲まないのか?

なぜ『バケツ』では躊躇したのか?
 
 
それはあなたの【固定概念】
あなたの行動を抑制しているからです。
 
 
あなたが『尿瓶』の使用用途を
『尿瓶』としてしか認識していないから。

あなたが『バケツ』の使用用途を
『バケツ』としてしか認識していないから。
 
 
どれも液体を入れる容れ物です。

あなた自身が思考を停止して
モノに対する根本的な用途を
制限してしまっているからに他ならない。
 
 
これはモノに限ったことではない。

行動であったり、
考え方であったり、
捉え方であったり、
扱い方であったり
どんなことであっても、

制限しているのは
『あなた自身の心』
なのです。
 
 
下手に
『あぁ、それ知ってる』
『これの使い方?当たり前じゃん』
などといった安直な思考こそが
諸悪の根源なのです。
 
 
捉え方を変えるだけで
広がる可能性は無限です。
 
 
 
 
 じゃね~



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